山本コウタローさん追悼秘話 知られざる社会派の顔「常に問題意識を持っていた」
広島で平和祈念コンサートを続ける
「社会派と呼ばれた通り、常に問題意識を持っている方でしたね。コウタローさんの功績で忘れてはいけないのは、86年から10年間、南こうせつさんたちと、広島で平和祈念コンサートを続けたこと。被爆者向け養護ホームを訪れたとき、狭い部屋にベッドが詰め込まれ、入所待ちの被爆者も多いと聞いたコウタローさんが何とかできないかと立ち上がり、ミュージシャンに呼び掛けた。1年目は海外を含む30組のアーティストがノーギャラで参加。その収益を広島市に寄付して、新しい原爆養護ホームが建設されました」(加藤氏)
その後も、ホームをフォーク仲間と頻繁に訪れては毎年ミニコンサート(写真)を開いたりしたという。
「そういうことはあまり知られていませんが頭が下がります。音楽の持つ力、今の世の中でミュージシャンができることを真剣に考えていた方でした。お疲れさまでしたと言いたいです」(加藤氏)
コウタローさんは7月4日未明に脳内出血のため都内の自宅で死去。享年73。団塊世代の旗手がまたひとり、この世を去っていった。