この春承認 “糖尿病新薬”はどのくらい画期的なのか!?
高血糖は、毒となって血管を傷める。それを阻止するために、糖を再吸収せず、尿中に排出しようと体は働く。健康診断などで「尿糖が出ている」と言われるのは、この状態を指す。なお、空腹で尿糖が出たら放置できない大変な高血糖である。
「高血糖だと尿糖が出るので、これまで尿糖は糖尿病の悪化を示す指標のひとつでした。しかし、今回の新薬はこの発想を違う面から捉えて開発されたものです。普通は血糖が160~180mg/dlを超えると尿糖が出るようになりますが、血糖がもっと低いうちから薬で再吸収を抑え、尿糖として捨ててしまおうという新発想の薬なのです」
腎臓には、糖を再吸収する輸送体としてSGLT1とSGLT2がある。輸送体は、必要に応じて開く穴のようなものと考えると分かりやすい。このうち、主に働いているのがSGLT2。新薬は、SGLT2の働きを阻害することで、糖の再吸収を防ぎ、そのまま尿として出すようにするわけだ。
過去には実験用の薬でSGLTの1と2の両方を阻害するものもあった。しかし、SGLT1を阻害すると、小腸での糖の吸収に作用して、消化管障害が起こるリスクが高くなることが分かったので、新薬ではSGLT2だけに作用するようになっている。