喉が痛い…数時間で窒息死もある「急性喉頭蓋炎」の怖さ
■気管と食道の分かれ目のフタが腫れ上がる
「喉頭蓋とは喉の奥にあり、空気の通り道である気管と食べ物の通り道である食道の分かれ目にあるフタのような部分。食べ物が気管に落ちない働きをしています。喉の奥が細菌感染して喉頭蓋に広がり、短時間で腫れ上がるのが急性喉頭蓋炎です」
こういうのは慶応大医学部耳鼻咽喉科出身で、“声の専門医”として知られる、東京ボイスクリニックの楠山敏行院長だ。
40~50代の男性患者が多く、免疫力が低下している場合に発症しやすい病気といわれている。
この病気が怖いのは短時間で腫れ上がり、空気の通り道である気道をふさぎ、窒息死するケースがあることだ。
治療はステロイドや抗菌剤の点滴が効果的だが、その効果が表れるより早く、気道がふさがることも少なくない。そのため、気管を切開するケースもあるという。
「実際、私が大学病院の救急にいた頃、男子中学生が運び込まれ、ご両親の許可を得て、その場で緊急気管切開をしたこともありました」(楠山院長)
問題は、急性喉頭蓋炎は内視鏡などで喉の奥を調べない限り、口を開けただけでは判断できないこと。病院で診察してもらっても江藤さんのように口の中に異常が見つからず、「ただの風邪」と診断されるケースは多い。そのため適切な処置が施されないまま、症状が急変し、死亡することも少なくないという。