薬で治療だけじゃない 手術で治る「内側側頭葉てんかん」
てんかんは、脳の神経細胞の一部が異常な電気発射を行うことがきっかけで、発作を繰り返す病気だ。抗てんかん薬の服用が治療の中心になるが、中には手術で治るてんかんもある。「内側側頭葉てんかん」だ。東京医科歯科大学脳神経機能外科学分野・前原健寿教授に聞いた。
内側側頭葉てんかんは大脳の側頭葉の内側(海馬、扁桃体)に異常な電気発射が起こるてんかんだ。症状は「意識を失う」。これが30秒ほど続く。手足や口元をもそもそ動かすこともある。一般的には、内側側頭葉てんかんは「動作が止まり、一点を見つめながらボーッとしているだけ」というように周囲に映る。
「見た目にはてんかん発作と分かりにくい。しかし、治療せずにいると、思わぬ事故を招いてしまうことがあります。たとえば、料理している時に発作を起こすと、その間は意識がないので、ガスの火で手が燃えていても気がつきません。入浴中に発作を起こすと、溺死の危険があります」
運転中に意識を失うこともあり、交通事故のリスクも高まる。さらに、てんかん発作を繰り返すと、脳のダメージが加わり記憶力が低下したり、うつ状態になることもある。内側側頭葉てんかんでない人の8倍、突然死のリスクが高いという指摘もある。