薬で治療だけじゃない 手術で治る「内側側頭葉てんかん」
だから、早期の的確な治療が必要なのだが、内側側頭葉てんかんは、その選択肢のひとつに、異常な電気発射が起きている海馬や扁桃体を切除する手術がある。
「てんかんは一般的に、2剤までの抗てんかん薬の服用で患者の7割が症状を抑えられます。しかし、内側側頭葉てんかんで海馬硬化がある場合は薬が効きにくい。その半面、手術で根治する患者が多い。世界的なデータでは、7割の内側側頭葉てんかん患者が完全に発作が治まり、著効が2割、改善なしが1割です」
ところが、日本では「てんかんには手術で治るものもある」ということが知られていない。
「手術適用と思われるてんかんは、年間1500~2000件くらいあると考えられていますが、実際の手術件数は500~600件ほど。欧米と比べて圧倒的に少ない」
理由は、てんかんをきちんと診られる専門医が少ないことが挙げられる。
都道府県によっては、だれもいないところもある。
「手術うんぬん以前に、てんかんの診断や抗てんかん薬の処方を間違えているケースも少なくありません。当院に来る難治性てんかん患者(抗てんかん薬2剤で効果がない)の2割は、てんかんとは別の病気です。もしかして……と思ったら、まずはてんかん専門医を受診してください」