【肝臓移植】「東京では無理と言われ関西の病院を探してもらった」
「当初は東京での移植手術を考えて病院を探したのですが、“できない”“無理です”と言うばかりで、見つかりませんでした。そこで妻の知り合いの医師に病院を探してもらったのです」
東京から京都に向かう前日、知人や友人が60人ほど集まり、「生きて帰ってこいよ」と、送別会を開いてくれたという。
8時間に及ぶ大手術で、隣の手術台で横たわる夫人の肝臓のうち、6割ほどが多田さんに移植された。
1カ月間入院し、退院後から約10カ月間、病院前に借りたマンションに住み、夫婦で京大病院に通院した。
「治療代金は300万円ほどだったでしょうか。術後の主な治療は、肝臓で生成される胆汁が詰まるのを除去することでした。この症状には警戒し、現在も定期検査を受けています」
夫人から「若いピカピカ」(多田氏)の肝臓を提供されて、長年、苦しんできた、だるさから解放された。
ところが5年前、再び大病が襲う。胃がんが見つかり、東大病院で胃の3分の2を切除したのだ。