はしか、結核、梅毒…忘れ去られた病気はなぜ広がった?
複十字病院呼吸器科の元部長で「水谷内科呼吸器科クリニック」(東京・練馬区)の水谷清二院長は言う。
「その多くは高齢になって発症する“内因性再燃”の患者さんです。過去に結核菌に感染し、自身の免疫力によって菌を肺の中に抑えていたが、高齢化や病気などで菌が暴れ出しているのです」
ところが、世界に目を転じると結核は最も死亡者が多い病気だ。2014年には960万人が罹患、150万人が死亡している。とくに中国や韓国では猛烈な勢いで増えているという。
「韓国では今年結核が流行しており、病院や幼稚園での感染が報じられています。怖いのはどんな薬も効かない多剤耐性結核菌で、2014年には世界で48万人が罹患し、19万人が死亡している。その大半は中国、インド、ロシアの患者さんです。日本への本格的上陸も時間の問題ともいわれています」(前出の大利院長)
草食男子の増加で、すっかり忘れ去られた感が強い「梅毒」も、要注意だ。国立感染症研究所のデータによると、2011年に827人だった感染者は今年7月に2000人を超え、年内4000人との見方も浮上している。弘邦医院(東京・江戸川区)の林雅之院長が言う。