成人の2割が重度の悩み抱え…「慢性疼痛」治療最前線
「一般的な慢性疼痛は3つが混在し、時間の経過で占める割合が変化します。このうち、メカニズムが複雑で『複雑系の痛み』ともいわれるのが神経障害性疼痛です」
神経障害の故障があるかどうか、どれほどの割合を占めるかの見極めが治療のカギになる。言い換えれば、この最初の診断がうまくいかなければ、治療戦略が間違った方向にいってしまう可能性がある。疼痛の専門家による見立ての重要性がここに表れる。
慢性疼痛の主な治療は、薬、神経ブロック、神経刺激、光線、認知行動など多岐にわたる。
「いずれにしろ、ペインクリニックとしての治療目標・計画は、『体を動かしやすい状態にする』『体を動かすことの重要性を認識させる』こと。たとえば、薬が痛みによく効いても、ふらつきや眠くなるなど身体運動を減少させる副作用がある場合は、別の治療法を考えなくてはなりません」
■「脊髄刺激療法」に注目
慢性疼痛は、交感神経を活発化させるため血流が低下し、痛みの物質の代謝が悪くなる。痛みがあると体を動かさないので、血流低下に一層拍車をかける。それらが痛みの悪循環を招く。