映画監督・俳優の佐野和宏さん 下咽頭がんから復帰まで3年
術後は昏睡状態が数日続きました。その間はトリップしていて、空を飛んだり楽しかった。
その時に見た、大きな洞窟の中に石仏がある風景もよく覚えていて、スリランカあたりにあるんじゃないかといま探しているんです。そんな状態から徐々に現実に戻ってきたので、声を失ったことも割とすんなり受け入れられましたね。
手術で性欲が失せるとかはなく、男としてはさほど変わりはなかった。寝たきりでふくらはぎがヒラヒラ、体重が10キロも減ったので、なるべく車椅子を使わず自力で歩き始め、病室を抜け出し、納豆とか食べやすくて栄養になるものを買いに行きました。
術後1カ月あたりからは外泊もしていたし、そんなにセックスがご無沙汰になることはなかったな。病気だからできないなんてない。大丈夫ですよ。
それより、入院中は何もしないで済んだ分、3カ月で病院を放り出されてから自立することのほうが結構大変で、仕事に復帰するまでに3年かかりました。
■声がでなくてもどうにかなる