往年のスターホースが教える「心房細胞」の怖さ
中央競馬の一年を締めくくる師走の大一番「有馬記念」が迫ってきました。有馬記念といえば、思い出すのが「芦毛の怪物」と呼ばれ、空前の競馬ブームを巻き起こしたオグリキャップです。もう限界だとささやかれながら、引退レースとして臨んだ90年の有馬記念で、武豊騎手を背に劇的な勝利を飾った名馬です。
オグリキャップは87年に地方の笠松競馬でデビューし、8連勝を含む12戦10勝の成績を引っさげて4歳(現3歳)1月に中央競馬に移籍しました。移籍後は、クラシック登録がないまま重賞6連勝を達成。古馬を相手にGⅠレースでも名勝負を繰り広げ、一躍トップホースに上り詰めました。
そんなオグリキャップが、6歳(現5歳)になって大敗を続けるようになります。疲労による体調不良や脚部不安など、さまざまな原因を指摘されましたが、私は「心房細動」が関係していたのではないかと考えています。
オグリキャップは、デビュー時の馬体重が450キロそこそこで、成長して軌道に乗ったころは480キロ前後でした。その後も徐々に馬体重が増えていき、精彩を欠いた当時は500キロに届いていました。この馬体重の増加が、心房細動を引き起こしていた可能性があるのです。