胃がん経験した横島亘さん 「患者は黙ってちゃいけない」
でも、ちょうどそのころ、妻が乳がんで入院中だったので、どうせ入院するなら同じ病院にしようと思い立ちました。それで、そっちの病院で診てもらったら、「腹腔鏡手術でいきましょう」と言われたわけです。昔は失敗が多かった手術だということが頭をよぎりましたが、もう大丈夫だろうと思い、決意しました。
入院予定は1~2週間。とはいえ、仕事レベルの声がすぐに出るかわからない。アフレコ現場で相談したら、「じゃ、横島さんの分だけ先にとりましょう」となり、週1回の30分アニメ番組を半年先まで録音したんです。私のセリフだけ先に作ってもらい、絵を後から合わせるということでした。その時は「そんなに先までしなくても……」と思いましたが、やっておいてよかったですよ、本当に(笑い)。
腹腔鏡手術の後、予定通り1週間で退院したものの、なんとなく調子が悪い。術後の通院治療の際、担当医に「痛みで眠れない」と訴えたのですが、それでも経過観察が続きました。そしてついに6月、自宅で大量下血したんです。
救急車で手術した病院に行くと「脾動脈瘤破裂」と診断されました。腹腔鏡手術の影響で脾臓の動脈に瘤ができ、それが破裂し、その血が縫い目から胃にたまって下血したとのことでした。傷ついた血管はコイルのようなものでふさがれ、瘤化は解消されました。