胃がん経験した横島亘さん 「患者は黙ってちゃいけない」
思えば、最初の手術から退院までずっとスッキリせず、調子が良くなかったんですよね。でも、手術が初めてだったから、その調子の悪さが異常なのか、一般的なことなのかが判断できなかったんです。看護師さんに「大丈夫ですか?」と聞かれたら、よほどのことがなければ「はい」と言ってしまうし、退院後の痛みも耐えられないほどではなかったから、我慢してしまうし……。「手術したから良くなっているはずだ」と思ってしまいますしね。
だから、今言えることは「患者は勇気をもって自分の状態を伝えよ」ということです。わからないことはなんでも聞き、具合が悪いことは強めに訴えた方がいい。昔、“男は黙って○○ビール”なんてCMがありましたけど、患者は黙ってちゃいけません。
あれから5年が経過しましたが、いまだに声は戻っていない気がします。術前のメタボ体形から15キロも痩せたせいもあるかもしれませんが、胃と一緒にリンパ節も取ったので免疫力がなく風邪をひきやすいし、声もかれやすいのでペース配分が必要です。
ただ、くしくも次の舞台では、ホスピスで暮らすがん患者のひとりを演じます。痩せた外見を含め、少しは病気の経験が生きるのではないかと思います。