膵臓がん手術を受ける患者は5割に満たない
膵臓はナスのような形の長さ15センチほどの臓器。胃と背骨の間にひっそりとおさまっています。ナスのヘタの方(膵頭部)は十二指腸に囲まれており、膨らんだ方(膵尾部)は胃の左裏側で脾臓と接しています。また、その中間部分は「体部」と呼ばれます。消化酵素とインスリンの生産を行っている臓器です。
手術は切除する範囲によって大きく4種類あります。がんが膵頭部にとどまっていれば「膵頭部腫瘍切除」、膵尾部側にあれば「膵体尾部腫瘍切除」。膵頭部切除では隣接する十二指腸まで切除することがありますし、膵体尾部切除では脾臓も一緒に切除することがあります。また、膵臓を完全に切り取る「膵全摘術」も行われています。手術の大半は開腹で行われており、腹腔鏡手術は膵体尾部切除の一部を占めるだけです。
2014年度の手術件数と新規患者数(2012年)、死亡数(2015年)を〈表〉にまとめました。それぞれ集計時期が異なっていますが、おおまかな傾向をみるには、これで十分です。
特徴のひとつは、新規患者数に比べて手術件数が少ないことです。男性患者の48%、女性患者の35%しか手術を受けていない計算になります。膵臓がんは発見が難しいため、見つかったときには手術ができない状態(周辺臓器に浸潤・転移している状態)であることが多いのです。しかし、手術以外に根治が期待できる治療法はありません。手術が受けられなければ、膵臓がんで早晩亡くなることを意味します。