著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

抗菌剤で大動脈瘤の危険? 英医学誌に衝撃の研究結果が

公開日: 更新日:

 大動脈瘤というのは体を栄養する太い動脈にできる瘤(こぶ)のようなものです。血管の壁に弱い部分があり、そこが膨れて起こると考えられています。それまで病気がなく元気だったのに、突然亡くなった芸能人の死因が大動脈瘤の破裂であった、というようなニュースは、皆さんも読まれたことがあると思います。

 大動脈瘤はなぜできるのでしょうか? 体質的に血管が弱くて起こることもありますが、一番の原因は高血圧動脈硬化です。ただ、なぜできたのか分からないような動脈瘤もまた多いのです。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、感染症の薬である抗菌剤で大動脈瘤が増えるという、ちょっとショッキングな研究結果が報告されました。

 全ての抗菌剤にそうした作用が疑われる、というわけではなく、強力な抗菌剤として知られているニューキノロン系というタイプの薬で、そうした結果が得られたのです。ペニシリンという抗生物質を使った場合と比較して、ニューキノロン系の薬を使うと、その後の大動脈瘤の危険が、60%以上も高くなっていました。その原因は不明ですが、抗菌剤の作用により、血管の壁が弱くなる可能性が指摘されています。血圧が高い人や動脈瘤のある人が感染症にかかった時には、抗菌剤の種類にも気を付ける必要がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…