アレルギーを抱えている患者の手術は普段以上に注意が必要
近年、何らかのアレルギー性疾患を抱えている患者さんが増えています。花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギーなどのアレルギーがある患者さんを手術する際は、通常の場合よりもさらに細心の注意が必要になります。実際、手術中にアレルギー反応が起こってしまって大慌てするケースもあるのです。
アレルギーは、体内にウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに排除しようとする免疫反応が過剰になることで、体にとってマイナスになる症状を引き起こす状態です。反応に関わる抗体や出現にかかる時間などによって4つのタイプに分類されます。
Ⅰ型は「即時型」とも言われ、アレルギーを起こす原因物質=アレルゲンが体内に入ってから短時間で症状が表れるタイプです。花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などがこのタイプで、食物アレルギーの多くが該当します。中でも、発症してから非常に短時間で全身症状が出るアナフィラキシーは、ショック状態に陥って血圧の低下や意識障害などを引き起こし、命に関わるケースもあります。
Ⅱ型は「細胞障害型」とも呼ばれ、体内に侵入してきた抗原が細胞に付着することによって自分自身の体をアレルゲンとして反応し、細胞を壊してしまうタイプです。型の合わない血液を輸血して起こる溶血性貧血などが該当します。