朝の歯痛や知覚過敏なら「歯ぎしり」が原因ということも
もう1つは上下の歯を強く食いしばるクレンチング。通常、上下の歯の間には数ミリの隙間があって、食事の時間を含めても1日のうちに歯がピッタリ噛み合うのは数十分程度に過ぎない。ところがクレンチングの人は昼夜問わず歯を食いしばっているため、歯の根元に負担がかかり、歯が割れたり、くさび状欠損ができたり、冷たいものなどが染みる知覚過敏を起こす。
「四六時中食いしばっているため噛むための咬筋や側頭筋が酷使され硬直しているため、患者さんの表情もどこか硬い」
最後はタッピングといわれる、カチカチ音を立てて歯を鳴らすタイプ。こちらは患者も少なく影響も大きくない。
では、深刻な歯ぎしりを治すにはどうすればいいのか?
「ナイトガードと呼ばれるマウスピースをつけるのも手ですが、注目はボツリヌス菌注射による治療です。無毒化したボツリヌス菌を過度に発達した咬筋に注射します。注射して3日くらいから食いしばりの力に変化があらわれ、6カ月程度効果が続きます。過度に盛り上がった咬筋がすっきりし、えらの張りがとれて、表情が柔らかくなると喜ばれています」