「不眠」「睡眠薬」「心臓疾患」は密接につながっている
これまで何度かお話ししていますが、睡眠と心臓疾患には深い関係があります。
1日の睡眠時間が5時間以下の人は心臓疾患の発症率が上昇し、4時間以下になると冠動脈性心疾患による死亡率が上がることがわかっています。睡眠不足になると交感神経が優位になっている時間が長くなり、神経伝達物質のアドレナリンが大量に分泌されます。アドレナリンは心拍数を増加させたり、血流を増やして血管を収縮させるため血圧が上昇し、心臓の負担が増えて疲弊したり、動脈硬化が促進されてしまいます。睡眠不足が血圧を上昇させ、それが心臓疾患につながるのです。
また、血圧が高い人は睡眠薬に依存しているケースが多い印象です。高血圧の人は不眠に悩んでいる場合が多いという報告もあります。血圧が高くて眠れない、もしくは眠れないから血圧が高くなることで、どうしても睡眠薬に頼る人が多くなるのでしょう。
■睡眠薬に依存している人は高血圧体質が多い
ただ、睡眠薬というのはいったん使い始めると徐々に効かなくなることもあり、一度効果が薄れるとどんどん効き目が強いものに進んでしまいます。8割方はそうした推移をたどり、依存性も表れます。繰り返し睡眠薬を使っていると、効果が切れてきたときに脳が薬を欲するようになるのです。かといって、急に薬をやめると今度は離脱症状が表れます。そうした厄介な依存性により、中には複数の医療機関からいくつも睡眠薬を処方され、フラフラになってしまっている高齢者も少なくありません。