体験したからこそわかる 患者が繰り返す「再発の不安」
幸い、生検の手術日の頃は解熱し腫瘤も小さくなってきていました。手術台に乗ったところで、教授が「おや、小さくなっている。これなら悪性ではないな。傷をつけるのはやめよう」と判断して生検手術は中止となりました。結局はウイルスの感染症だったのです。
ところが、数カ月経っても、1年経っても、2年経っても、治癒したはずなのに、消失したリンパ節が時々また腫大してきます。そんな時は、首を動かす際に引きつれ感があって気づき、微熱も出てきます。再発したのか……今度こそ、本当に不治の悪性リンパ腫になってしまったのか……不安がよぎります。もう忘れていた、遠くに離れていったはずの「死」が、またまた急に迫ってくるのです。
■問題なく5年経過した時の解放感は本人にしか実感できない
結局、幸いにもいつの間にかリンパ節の腫大は消えてくれました。そんなゾッとする、数年は思い出すのも嫌だった経験がありました。
手術でがんが取り切れても、化学療法でがんが全く消失しても、多くの患者さんは再発を心配しながら過ごされます。咳が出れば「がんの転移が肺に来たか?」、背中が痛いと「骨に転移が?」、腹痛が起こると「腹の中に再発したか?」、首が腫れると「リンパ節転移かもしれない」など、そのたびに不安な気持ちになるのです。