歩数の多い高齢者は死亡率が少ない?
近年、「フレイル」という概念が注目されるようになってきました。フレイルとは、加齢とともに発症する慢性的な病気、あるいは運動機能低下、認知機能低下などが影響し、生活機能に支障をきたしているような状態のことを指します。日常的な散歩など適度な運動習慣はこうしたフレイルを予防し、健康的な生活維持に貢献できるものと思われます。
高齢者における歩行頻度と健康への影響を検討した研究論文は過去にも報告されていますが、その多くが自己申告に基づくアンケート調査で、必ずしも結果の妥当性は高くありませんでした。
そんな中、歩数計を使って客観的に評価された歩行頻度と健康への影響を検討した研究論文が、2018年4月23日付で公衆衛生学のオープンアクセスジャーナルに掲載されました。
この研究では、71歳の日本人高齢者419人が対象となり、歩数計により7日間連続で被験者の歩数が測定されました。1日の平均歩数が、4503歩未満、4503~6110歩、6111~7971歩、7972歩以上の4つの集団にグループ分けし、死亡リスクが比較検討されています。なお、結果に影響を与えうる性別、体格指数(BMI)、喫煙状況、アルコール摂取状況などの因子で統計的に補正を行い解析されています。