推定15万人が装着している 人工肛門・膀胱とは何なのか?
ストーマをつくる位置は下腹部で左右、真ん中、どこであっても構わない。
日常生活での「かがむ」「座る」「立つ」「寝る」といった体の動きに合わせて、しわや皮膚のたるみなどを考慮し、ストーマ装具が平らで安定して張れる場所につくるという。
「日常生活で快適に過ごすため、自分でストーマが見えて、装具を張りやすい場所につくることが基本です。大事なのは腹直筋のある場所でなければならないことです。腹直筋が肛門筋の代わりになり、腹圧によりある程度の便や尿を押し出すことができます。また、ストーマは大腸か小腸か、つくる器官によって便の性状が変わります。小腸につくれば水っぽい便が、大腸につくれば固形の便が出ます」
尿路ストーマは回腸(小腸)導管と尿管皮膚ろうの2種類がある。回腸導管は、回腸の一部に尿管をつないで回腸の一端を腹部に誘導してつくられ、尿管皮膚ろうは、尿管を直接腹部に誘導してつくられる。
「ストーマが必要になると告げるとびっくりして人生が終わったかのように感じられる患者さんもおられますが、今はストーマに関する知識が蓄積され、スムーズな日常生活が送れるようになっています。装具が触れる皮膚のスキンケアが必要、太って体形が変わると腹圧が増して、脱腸やヘルニアになるリスクがあるなど、面倒なことも確かにあります。しかし、入浴も泳ぐことも性生活も送ることができます」
知ればストーマも怖くない。漫画家・小説家の内田春菊さん、声優の真山亜子さんなどストーマをつくっている有名人はいっぱいいる。生きるために必要な物は臆せず利用することだ。