実用化に期待大 繰り返す中耳炎に世界初「粘膜再生治療」
「これが真珠腫性中耳炎です。放置すると、難聴、めまい、耳だれが生じ、顔面神経麻痺や髄膜炎、脳腫瘍などの原因にもなります」
一方、癒着性中耳炎は、同じく乳突蜂巣の発育不良で粘膜が癒着した状態。やはり、難聴、めまい、耳だれなどが起こる。これら2つの中耳炎に共通しているのは、手術を行っても再発を繰り返しやすいことだ。
「真珠腫性中耳炎は真珠腫を取り除き、癒着性中耳炎は癒着した粘膜を剥がします。鼓室形成術という手術ですが、乳突蜂巣の異常は変わらないため、手術をしてもまた同じ症状が出てくることがあるのです。特に癒着性中耳炎は、鼓室形成術をしても症状がほぼ改善されないケースがほとんどで、治療困難でした」
そこで小島医師らが考えたのが、再生医療だ。どちらの中耳炎も乳突蜂巣の粘膜に異常があるのが問題なので、ここに新たな粘膜を移植し、健康な粘膜を再生する。では、どこの粘膜を移植するか?
理想は「耳」からだが、真珠腫性・癒着性中耳炎がある患者は、そもそも正常な粘膜が少ない。粘膜採取は手術で行うしかなく、患者への負担も大きい。