食べて吐いての繰り返し…秋本啓之さん語る過食嘔吐との闘い
通常は食事量を少し減らし、有酸素運動を増やしたり、油ものをカットするなどして体重を落とすのですが、食べたい欲求が強すぎて抑えられないんです。
幸か不幸か、当時はひとり暮らしだったので、誰にとがめられることもなく、コンビニやスーパーでお菓子やらパンやら甘い飲み物などを大量に買い込んではそれを一気に全部腹の中に納めます。ざっと買い物袋3~4つ。その後で全部吐き出すんですが、無理やり吐くので気づくと鼻血がサーッと出ていたりして(笑い)。
そうやって、胃の中が空になったところで少量の食事をして就寝するのが習慣化していました。ひどいときは朝まで食べて吐いてを繰り返すことも……。手元にあるお金はほとんど食べ物に消えていました。ちなみに、チョコレートは吐きづらかったです。体に吸収される前に吐き出していたので、塊のまま食道を逆流させるとゴリゴリしてね(笑い)。
■階級を1つ上げたことが完治のきっかけ
そうやって減量しても、初めのうちは体調が良く結果も出ていたのですが、だんだん試合で自分の力が発揮できなくなっていきました。そして2006年、ドーハで行われたアジア大会で、スタミナ自慢のボクがスタミナ切れで負けてしまったのです。そうなって初めて、当時全日本のコーチで、大学柔道部の監督でもある岡田弘隆先生に過食嘔吐の症状があることを打ち明けました。