宣告され頭が真っ白に…戸叶尚さん「精巣がん」を振り返る
発症したのは2006年です。横浜からオリックスに移ったあと、楽天に移籍して2年目でした。7月下旬、どうもアソコに違和感がありました。右のタマ(精巣)が腫れてきたんです。でも、「おかしいな」と思ったのはそれぐらいで、ほかに症状はありませんでした。
ほとんどの人は腫れていても気付きにくく、かなり腫れて破裂してから慌てて病院にかかるらしいんですけど、ボクはユニホームのズボンの下にスパッツをはいて、下半身を締め付けていたので、走った時に気付きやすかったのだと思います。
そうはいっても、まさかがんとは思わなかったから、身に覚えはなかったけど「性病かな?」と思って、チームドクターに抗生物質を処方してもらいました。でも、2、3週間飲んでも治らない。場所が場所だけに病院に行きにくくて、トレーナーに相談したら、チームのかかりつけ医院の泌尿器科を予約してくれて、すぐに病院に行くことになりました。
病院では、血液検査、尿検査、レントゲン、CT、エコーなどの検査を受けました。先生は「精巣腫瘍の疑いがある患者がいるから」とどこかに電話しているし、「これはただごとじゃないぞ」と、夕方の人けのない病院でひとり、どんどん不安になっていきました。