自らの特性に向き合う「発達障害」は自己理解のツールだ

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 一色さんも、そのように思われて理解してもらえないことは多いと言いながら、次のように言う。

「私は自分が発達障害であることに負い目はないし、ことさらにアピールしたいわけでもありません。ただ、発達障害者は特別な存在ではないことを知ってもらいたくて、今回、名前と顔も出して取材を受けることにしたんです。発達障害は脳の先天的な障害だといわれていますが、原因はよく分かっておらず、日本人の5%くらいはいるとされています。そして、そのなかでも最近の私たちの呼び方では、就職すら厳しい『ムリ層』、就職はできるけど苦労している『ギリ層』、特定の才能に優れバリバリ働ける『バリ層』がいるといわれます。私の場合は数字には強いので、なんとかSEの仕事はできており、『バリ層に近いギリ層』である、と自分のことを分析しています」

 発達障害にあてはまるかどうかは、所属する文化圏や環境によっても変わる。ある場所では普通に生きられる人でも、ある環境では適応できず、発達障害とされる場合もある。一色さんは「もし発達障害の特性を持っていても、本人や周囲の人が困っていなければ発達障害ではない」と考えている。その意味では、周囲への同調圧力が極めて高い日本の会社は発達障害とみなされやすい環境といえる。しかし、日本の会社では発達障害とされる人でも、おおらかな国民性の国であるとか、日本でも自由な社風の会社やフリーランスで働ければ発達障害とみなされず不適応もおこさない、ということは往々にしてあると言ってもいい。 

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