「放射線治療」の最前線 今や正常組織にダメージを与えず
がんの放射線治療は近年、大きく進歩した。知っておかなければ、“ベストの治療”を受けるチャンスを逃すことになりかねない。
都内在住の50代の男性は2年前に前立腺がんが分かり、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術を受けた。医師の「負担が少ない低侵襲な手術」という言葉にすんなり従った形だ。
術後以降、尿失禁と勃起不全に悩まされている。
「徐々に回復する」と説明を受けたが、急に走ったり立ち上がったりすると漏らしてしまう。勃起に関してはすでに諦めている。
知人の紹介で別の泌尿器科医に相談すると、「尿失禁や勃起不全は放射線治療の方がリスクが低い。前立腺がんは、手術も放射線も予後は同等だが、病院側としてはロボットは維持費がかかることもあり、放射線でできる前立腺がんにもロボットを勧めるところが多い」と言われた。
放射線治療で国内最高水準を誇る都立駒込病院放射線診療科の唐澤克之部長は、「似たような話はよく聞く」と言う。