尿潜血「+」は医師も警戒 「様子を見ましょう」は再検査

公開日: 更新日:

 本当は陰性なのに陽性と判定される偽陽性の「+-」もあります。筋線維が損傷するような激しい運動の後や生理直後には、筋肉中から尿中に放出されるミオグロビンがヘモグロビンと似たタンパク質で、テステープが誤って反応して、陽性と判定することがあるのです。

 背景にいろいろな見逃せない病気が潜んでいるときも、偽陽性のときも再検査が欠かせません。尿を遠心分離(沈渣)して、顕微鏡で観察。赤血球のほかに白血球はないか、尿路結石を起こすような異物や細菌感染がないかをチェックします。この検査は尿沈渣と呼ばれ、専門の検査技師がみれば、赤血球の形で出血の場所が腎臓なのか、そうでないか判別。尿の中にがん細胞が混じっていることもあり、膀胱がん発見のキッカケになることもあります。

 腎臓学会の調査によると、陽性になるのは毎年約500万人。そのうちがんが見つかる確率は0・5%程度、200人に1人。膀胱がんは、顕微鏡的血尿で診断される悪性腫瘍の中で最も多いがんなのです。

 それでも異常がなければ「様子を見ましょう」となりますが、1年後の再検査は決して忘れてはいけません。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

【連載】医師の常套句「様子を見ましょう」の真意

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…