心臓に原因も5割は無症状 突然死を起こす脳梗塞のリスク

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心房細動を起こしても50%は症状を自覚せず

 では、残りのひとつはなぜヤバイのか。

「心原性脳塞栓が、突然死に直結する脳梗塞のひとつです。心原性とあるように、原因は脳ではなく心臓にあります。心房細動という不整脈の程度や持続時間によっては、血栓が生じることがあります。その不整脈が治まって、血栓が流れていき、突然、脳の血管を詰まらせるのが心原性脳塞栓。太い血管、特に脳の呼吸中枢に関わる部分を詰まらせると、致死率が高い」

 巨人長嶋茂雄終身名誉監督(83)やサッカー日本代表元監督のオシム氏(78)を襲ったのが、この心原性脳塞栓だ。2人とも一命を取り留めているが、元気だった長嶋氏は今もなお重いマヒが右半身に残っていることからも、突然の血流遮断の恐怖がうかがい知れるだろう。

「心房細動は年齢とともに増え、特に60代以上は急激に頻度が高まり、80歳以上は10人に1人。しかし、若い人も起こりえます。ストレスや飲酒、喫煙、過労、睡眠不足、脱水などは心房細動のリスク。仕事の疲れをためて週末を迎え、パーッと飲みに行ったりすると、心房細動になります。時々、夜勤明けの若い医師が心房細動で搬送されるのはそのためです」

 高血圧糖尿病、甲状腺機能亢進症も、心房細動のリスクだという。

「心房細動を起こすと、脈の乱れや胸の痛み、胸部の不快感、動悸、めまいなどの症状が表れますが、50%は症状を自覚しないという報告もあります。特に持続時間が短いケースはなおさらで、症状をアテにするのはよくありません。健康診断などで不整脈を指摘されたら、不整脈と持病の治療をしっかりと受け、リスクをつぶすように生活を見直すことです」

 心原性脳塞栓でオシムのように無傷で復帰するのは超がつくレアケースだという。たとえ九死に一生を得ても、重いマヒが残りやすい。症状がなくても「まぁいいか」と先延ばしにせず、治療を受けることだ。

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