抗不安薬や睡眠薬は増える一方…薬を見直す家族の働きかけ
この女性は、施設への入所が薬を見直すキッカケになったが、知らず知らずのうちにベンゾ系の薬を重ねてしまっている人は、どうすればいいのか。
「家族の働きかけが、とても大切です。同じ薬が複数の医療機関で処方されていることを医師と薬剤師に相談し、薬の見直しをお願いするのです。絶対にやめてほしいのは自己判断で薬を突然、中止すること。ベンゾジアゼピン系の薬をやめるときは、医師の指示で少しずつ減らしていくのが鉄則。突然やめると、反動で不具合が生じやすいのです」(酒井氏)
「お薬手帳」は、重複処方を見つける手がかりになるが、人によっては医療機関ごとに手帳を使い分けていることがあるという。
そうすると、医師も薬剤師も重複処方を見つけられない。お薬手帳は、必ず1冊ですべての医療機関をカバーすることだ。
聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏が言う。
「ベンゾジアゼピン系の薬を別のグループの薬に切り替えるのも、ひとつの方法でしょう。たとえば抗不安薬ならアザピロン系、睡眠薬ならメラトニン系かオレキシン系に。そのためには、医師にお薬手帳を見せることです」
在宅で介護サービスを受けているケースでは、介護スタッフや通所サービスの担当者に薬の確認をしてもらうのも重要だという。