抗不安薬や睡眠薬は増える一方…薬を見直す家族の働きかけ
病院で処方される睡眠薬と抗不安薬には、いくつかのグループがあるが、副作用で認知症のような症状が表れる可能性があると問題となっているのは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるグループに属する薬だ。ベンゾ系の睡眠薬と抗不安薬は、持病の数が増えるにつれて増加傾向にある。一度、処方されると、53%は継続して処方されている。
84歳の女性は、高血圧と脂質異常症のほか、頚椎の変形で首が痛み、不眠症もひどかった。軽い認知症もあり、内科と外科を掛け持ちし、降圧剤や脂質異常症の薬のほかにベンゾ系の2剤を含む合計15種類もの薬を服用していた。ところが、高齢者施設への入所をキッカケに、施設のスタッフが主治医や薬剤師らに相談して薬を見直すと、半分以下の6種類に。4回だった服用のタイミングも、朝食後と夕食後の2回になって、薬の飲み忘れもなくなったという。その見直しでベンゾ系の睡眠薬は、不要になったという。女性に代わって50歳の娘が言う。
「ベンゾ系の薬は、ゾルピデム錠とエチゾラム錠で、薬剤師さんの説明によると、副作用でふらつきが見られるとのことでした。母がよくふらついたのは、視力や足腰の問題とばかり思っていましたが、薬のせいだったんですね。薬をやめてからは、そんなにふらつくこともない気がします。施設の方によくしていただいているので、毎日楽しそうで、薬がなくてもよく眠れるようです」(ストレスケア日比谷クリニック院長の酒井和夫氏)