飲み続けると事故リスクが上がる「抗不安薬」と「睡眠薬」
薬の副作用で認知症のような症状が表れる可能性があることを12月6日に日刊ゲンダイDIGITALで、報じたところ、大きな反響を呼んだ。そんな薬の中でも、睡眠薬と抗不安薬の影響が強い。今回は、その睡眠薬と抗不安薬について、詳報する――。
病院で処方される睡眠薬と抗不安薬には、いくつかのグループがある。問題となっているのは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるグループに属する薬だ。表の通り33種類に上る。
朝日新聞などの調査によると、2017年度に処方されたベンゾ系の睡眠薬と抗不安薬のうち、53%が65歳以上に、33%が75歳以上に処方されていて、男女別では女性が多かった。高齢者では1年に平均100錠近いベンゾ系の薬を服用していたことになるという。
厚労省の「高齢者医薬品適正使用検討会」も、高齢者の“薬漬け”の実態を調査。「65~74歳」は約20%、「75~84歳」は約25%、「85歳以上」は約35%が、5種類以上の薬を処方されているのだ。
その状況を受け、副作用が10件以上報告された薬をリストアップ。そのトップ3が「催眠鎮静剤、抗不安薬」「その他中枢神経用薬」「精神神経用薬」で、精神神経系の薬が上位を独占しているのだ。
ベンゾ系の薬は、中枢神経の興奮を抑え、不安感を和らげたり、不眠を抑えたりするが、その作用が強過ぎると眠くなったり、認知機能がダウンしたりするなど副作用が表れる。特に高齢者は、薬を分解して代謝する力が低下することから、その危険性が高いという。