“流血”時に大活躍する「血小板」の機能と役割とは?
しかし、止血はこれだけでは不十分です。そこで第二次機能が働きます。
血液を固まらせるのに血液凝固因子という13個のタンパク質がありますが、傷口で、凝固因子のお互いの刺激で将棋倒しのように順番に活性化され、最後には第Ⅱ因子プロトロンビン(血液凝固の最終段階で働くタンパク質)が活性化されてトロンビンとなり、これが先の第I因子フィブリノーゲンをフィブリン(繊維上の血液凝固因子)に分解します。この凝固反応を外因性凝固といい、血液や血管にある組織因子の働きで第Ⅶ、第Ⅲ因子が活性化されて反応が始まります。このフィブリンはXIII(血液凝固安定化因子)を介してネット上に赤血球なども取り込み、傷口に確かな血栓を作ります。
一方、新型コロナウイルス感染などで病原体が血液の中に入り敗血症という病気になると、組織因子が活性化され、小さな血栓があちこちにできます。凝固因子は消耗されるので、出血しやすくなります。これが播種性血管内凝固症候群(DIC)といわれるショックや死に至る重篤な病気です。
このような第一次、続く第二次止血の機能が働き、出血から体を守ることができるのです。ちなみに凝固遺伝子の異常によって、第Ⅷ因子や第XI因子がなかったり活性が下がったりして止血作用を失うのが血友病です。ロシアの最後の皇帝ニコライ2世(1868~1918年)の子供で革命時に銃殺されたアレクセイ皇太子は生涯、この病気に苦しみました。