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東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

「好中球」予備軍は血管壁付近や骨髄のプールで待機中

公開日: 更新日:

 体の大小の血管を全部つなぎ合わせると約10万キロとなり、地球を2周半も巡る距離に匹敵します。血液はこの血管の中で1分以内に全身を巡って心臓まで帰ってきます。その中に「好中球」という優れた成分があります。

 白血球は顆粒球、リンパ球と単球に分けられ、好中球は顆粒球の一種です。手足に外傷を負い、細菌(ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌など)や真菌(カビ)などに感染すると、好中球は真っ先にその傷口に集結して、これら有害物を捕獲して細胞内に取り込みます。そして、細胞内の食胞で細菌などを加水分解した後、のみ込んだものと一緒に死滅します。好中球の死体は膿となって組織外に放出されることになります。

 では、死滅して減った「好中球」は、どのようにしてその数を元に戻すのでしょうか。好中球は骨髄内で作られた後、末梢血内で循環する以外に迅速に動員できるよう血管壁や組織、脾臓、肝臓などにも末梢血内に匹敵する量が、辺縁プールに存在しています。辺縁とは血管壁の近くという意味です。

 骨髄にも末梢血内の10~30倍もの量の滞留プールがあり、これら生体内のすべてを合わせると、実に数千億個という好中球が存在しているのです。寿命は血液内で1日弱、組織内で数日と短いのですが、細菌感染の防御などで死滅しても、貯留プール内の好中球の動員により末梢血内を流れる好中球数は速やかに増加します。

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