体内で必要な遺伝子を作り続ける新薬は生涯に1度の投与で済む
1回きりの投与を可能にしたのも、「ウイルスを使った遺伝子治療」だからこそなのです。その作用機序を見てみましょう。患者にゾルゲンスマを投与すると、ウイルスによって標的の細胞に目的の遺伝子が運ばれて細胞内に遺伝子(薬の本体)が組み込まれ、その後はそこで必要な遺伝子をずっと作り続けます。そのため、一生涯に1度投与すればよいということになるわけです。
通常、薬は必要ないものは分解され排泄されていきますが、ゾルゲンスマは体内で治療に必要な分子をずっと作り続けます。これが、今までになかった薬といわれるゆえんです。