新型コロナウイルスの決め手となる治療法は今のところない
新型コロナウイルスに感染し「ノドに金串が刺さったような耐え難い痛み」を覚えたと本紙(日刊ゲンダイ)に告白した50代の男性は入院後、抗生剤と痛み止めの点滴をした。
何しろ新型コロナウイルスにはまだ、特効薬もワクチンもない。それだけに、とりあえずつらい症状を緩和する。この男性の場合は「耐え難い痛み」を和らげる鎮痛剤を投与し、自己免疫力による回復を待ったということだ。
もうひとりの男性は病院でPCR検査を受けた直後、生理食塩水の点滴で一時的ながら劇的に症状が回復したのは、脱水症状が改善されたからだろう。
血液から有害なものや不要なものを除去する「血液浄化療法」や、志村けんさんが使った「エクモ」を利用した治療などが功を奏したケースはある。が、エクモにしても、悪化した肺を完全に休ませている間に、患者自身の免疫による回復を待つものだ。
エボラ出血熱の治療薬として開発された抗ウイルス薬の「レムデシビル」、抗インフルエンザ薬の「アビガン」(一般名ファビピラビル)、ぜんそくに使う吸入ステロイド薬「シクレソニド」(商品名オルベスコ)などの適応外使用で症状が改善された例があるにはあるが、要するにまだ“人体実験”をしている段階。
治療といっても新型コロナウイルスをやっつけるというより、患者の症状を緩和することに主眼が置かれているのが実情だ。
(4月23日発売 日刊ゲンダイ「新型コロナ完全ガイド」より)