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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

池江璃花子の短髪が話題 男性も考えたい女性のがんの悩み

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 池江さんは、造血幹細胞移植を受けています。今月9日に放送されたNHKスペシャルでは、免疫抑制剤などを1日20錠服用している様子が映されました。免疫抑制剤の服用から推察されるのは骨髄バンクを使用した可能性で、そうだとすれば一般に移植前に12シーベルトの全身照射を受けた可能性があります。その場合、卵巣への照射による影響で、将来の不妊症の可能性も問題になるでしょう。

 池江さんが全身照射を受けたかどうか分かりませんが、もしパートナーが同じ治療を受けたら、男性にとっても大きな問題でしょう。治療を受ける前に一緒にしっかりと話し合うことが大切になります。

 先ほど抗がん剤は、細胞分裂が盛んな正常組織にも影響すると書きました。男性の精子もその典型で、抗がん剤で毒性が現れたり、数が急低下したりするため、男性不妊の原因に。日本がん・生殖医療学会のHPには、妊孕性について男女それぞれの説明が書かれていますから、がんで治療を受ける前には、パートナーと一緒にチェックするといいでしょう。

 その先には、セックスの問題もあります。たとえば、子宮頚がんで子宮と一緒にリンパ節を全摘すると、直腸や膀胱の排泄にかかわる神経が障害され、排便や排尿のトラブルを起こしやすいばかりか、膣の分泌物が減って潤いも不足しやすくなります。性交痛です。

 女性のがんの患者会では、性交痛にまつわる悩みが多く寄せられるそうで、そういうときに男性が無理強いすると、夫婦関係がギクシャクしかねません。

 男性も、女性に寄り添ってサポートすることが大切です。

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