中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

検診で注意 病院が胃カメラからバリウムに変更を促す理由

公開日: 更新日:

■患者は内視鏡の消毒も確認を

 胃カメラは、鼻や口から内視鏡を挿入して、食道や胃、十二指腸などの状態をチェックします。検査器具を挿入する動きは、鼻の奥の拭い液を採取するPCR検査の動きに近く、患者がせき込んだりすると、飛沫感染のリスクがあります。

 そんな事情から、胃カメラからバリウムへの変更を勧めている可能性があります。医師は、しっかり感染対策をしているので、検査を通じて患者が感染するリスクが高いとは思えません。胃カメラによる感染を恐れる必要は、あまりないでしょう。

 バリウムに変更して検査を受けるか、変更せず胃カメラで検査を受けるか。それぞれの判断でよいと思います。毎年、胃カメラで検査を受けている人も、この機会にバリウム検査を受けるのは悪くありません。

 胃がんの中でも難治性といわれるスキルス性胃がんは、胃カメラでは発見しにくく、バリウムの方が見つけやすい。胃がんの検査では、胃カメラの有効性が知られていますが、ことスキルス性に限っては、バリウムの方がいい。この先も何年かに1回は、胃カメラの人もバリウムを受けるとよいでしょう。

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