著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

肥満はコロナ重症化の危険因子 フランスの研究者が発表

公開日: 更新日:

 肥満の人は、糖尿病や高血圧などの人と同様に、今後どうやって「ウィズコロナ」の世界を生きていくか、考えた方がいいかもしれません。フランス・リヨンの医療施設(Hospices Civils de Lyon)のCyrielle Caussy氏が、肥満の人が新型コロナウイルスに感染すると悪化する可能性が高いと発表したからです。

 もともと、肥満がコロナ重症化の危険因子になるのではないかということは、指摘されてきました。中国のコホート研究では、コロナ重症化の危険因子として高齢、心筋症、2型糖尿病、高血圧などが挙げられており、60歳未満では、体格指数BMI30以上の人はICU管理となるリスクが高いと報告されています。ただし、コロナの重症化と肥満が関連しているのかについて、調べた研究はありませんでした。なお、BMIの計算方法は海外も日本も同じですが、判定基準が異なり、WHO(世界保健機関)の判定基準はBMI30以上が肥満、日本肥満学会の判定基準はBMI25以上が肥満となっています。

 フランスのCyrielle Caussy氏は、勤務する医療施設に入院したコロナで重症化した患者の登録データ340人(3月27日時点)を分析しました。すると、32%に該当する110人がICUの管理下にありました。一方、2007年から19年にコロナ以外で入院した患者1210人のうち、ICUの管理下になった肥満の人は26%(314人)。コロナで重症化しICU管理下になるリスクは、肥満の人は非肥満の人より2・16倍高いことも分かりました。

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