肌<上>専門医が教えるマスクの肌トラブル回避法
皮膚の表皮は一番下にある「基底層」で新しい細胞が作り出され、「有棘層」「顆粒層」と徐々に押し上げられ、最後(一番表面)は死んだ細胞の「角質細胞」がウロコのように重なり合った「角質層」になる。角質細胞は「セラミド」という保湿物質を含む細胞間脂質によってつながっているが、やがてアカやフケとして体から離れていく。
そして角質層の表面は、皮脂腺から分泌される皮脂と汗が混じった「皮脂膜」に覆われている。
皮膚のバリアー機能で最も大きな役割を果たしているのが、この皮脂膜と角質層だ。皮膚の水分の蒸散を防いでうるおいを保ち、細菌やアレルゲンなどの刺激物をはね返してくれている。
しかし、皮脂膜は洗顔すれば洗い流されてしまう。すると角質層が乾きやすくなり、皮膚から水分が蒸散してバリアーが低下するのだ。肌の保湿を行うということは、角質層に水分やセラミドを与えて蒸散を防ぐこと。
では、どんな保湿剤を使えばいいのか。保湿の仕方を知っている男性は少ないはずだ。
「ドラッグストアなどの保湿コーナーに並んでいる商品の90%以上は、肌の水分の蒸散を防ぐ『保護剤』です。だから保護剤を塗っても保湿にはなりません。最初に『化粧水』を塗って肌に水分を与えた後に、『乳液』や『クリーム』といった保護剤の油分でフタ(皮脂膜の代わり)をするのです。まだ湿疹などができていない状態であれば、この組み合わせが保湿の基本です。いまはひとつの商品で、両方の役割をする『オールインワン』という保湿剤兼保護剤もあります」