「オンコサーミア」とは?進行再発乳がん患者3割に効果
がん細胞だけに熱が発生するのは、細胞が整然と並んでいる正常組織と違って、がんは細胞の構造が不均一なためだ。がんに電磁波が当たると電磁波が散乱して熱が出る。一方正常な細胞は電磁波が通り抜けてしまうため熱が出ないのだという。
「30例ほどの臨床研究並びに文献を見ても明らかな副作用が見られた患者さんはいません。よく体を温めるなら温泉入ればいいじゃないか、と考える人がいますが、それだと体表から5~6ミリしか十分に温まりません。温泉が体に良いのはほかに温泉成分が体表から吸収されるからですが、温めるという面では体の奥底に潜むがんには十分な効果が得られないのです」
■「乳がんはオンコサーミアに向いている」
気になるのはその効果だ。長田准教授は進行再発乳がんの患者さん10人にオンコサーミアを行い、その結果を日本ハイパーサーミア学会第37回学術大会(9月12日~10月12日、オンライン)で報告している。
「乳がんは皮膚からの深度が10センチ以内と比較的浅く電磁波の効果が得やすこと、乳がんの患者さんが高齢化しつつあること、標準治療後も何度も治療できることなどから、乳がんはオンコサーミアに向いていると考えています」