「オンコサーミア」とは?進行再発乳がん患者3割に効果
放射線治療の場合、がんに照射しても周辺の正常細胞にも放射線が当たる。臓器ごとに決められた量以上の放射線を当てると、正常細胞のダメージを受けてしまうため、乳癌を含めて同じ場所に照射することができない場合が多い。
「オンコサーミアは単独でも効きますが、標準療法と併用しながら、治療を長く続けられるというメリットがあります。また、がんにも幹細胞が存在し、時間をおいて活性化することがわかってきています。がん細胞が見えなくなって寛解状態になったとしても、10年、20年後に再発する場合があります。そのとき患者さんは70歳、80歳で抗がん剤や放射線を使うことが難しくなります。がん治療が長期化することを考えると、お年寄りに優しいこの治療法はますます重要だと考えています」
ハイパーサーミアとオンコサーミアの違いのひとつは治療室だという。
「ハイパーサーミアでは熱や空気の流れを乱さないような特殊な部屋が必要です。そして、患者さんは大きな機械の中で体を横たえるため、場所と経費がかかります。ところが、オンコサーミアはウォーターベッドの上に患者さんが横たわりその上に電磁波を流す電極がセットされます。がん細胞一個一個に電磁波の乱れが生じ、細胞ごとに効果が示されます。ハイパーサーミアは組織、がんの塊に照射するため、熱の伝わり方にむらがでる。そこが異なります」