減量手術を受ければ食事制限と運動なしでも痩せられる?
減量手術にはいくつかの手法があるものの、日本で保険適用になっているのはスリーブ状胃切除だけ。胃を切除してバナナのように細くし、食事摂取を制限します。食欲を刺激するホルモンが減少し、糖尿病の改善も期待できるといわれています。一般的には腹腔鏡で行われます。
繰り返しになりますが、減量手術の目的は、命に関わる重篤な病気のリスクを下げること。楽して痩せるためのものではありません。手術前には、肥満症治療コーディネーターや栄養士、理学療法士などのサポートによる食事療法、運動療法をしっかり行いますし、手術後も食事療法、運動療法は欠かせません。
甘い気持ちで減量手術を受ければ、見かけの体重が変わるだけで体質は改善していないので、術後数年でまた肥満に戻ってしまいます。特に、保険適用のスリープ状胃切除は肥満が再発しやすい点が指摘されています。日本人はそもそも欧米人と比較し、太りにくい体質。速やかな肥満解消が求められる一部の人を除き、私個人的には減量手術はベターな選択ではないと考えています。
一方、最近とみに注目が高まっているのが、糖尿病の治療薬であるGLP―1受容体作動薬です。GLP―1は体内にあるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。インスリンの働きが悪くなっている糖尿病患者が薬で体外からGLP―1を補うことで、膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が下がるのです。