新型コロナによる「受診控え」で命の危機を招けば本末転倒
新型コロナウイルスの感染がさらに拡大し、医療機関の受診を控える人が増えています。日本胸部外科学会の調査によると、医療機関の3分の2が、今年2月から8月までの間、手術件数が前年同時期に比べて「減った」と回答しています。とりわけ5月の手術件数は、平均40%も減っていました。
感染拡大を阻止するため、医療機関側が時間的猶予がある患者さんの手術を延期した影響もありますが、感染を恐れて自主的に外出を制限している患者さんの「受診控え」も大きな要因のひとつといえるでしょう。
患者さんのそんな心情はよくわかります。しかし、命の危険がある病気は新型コロナだけではありません。治療の遅れが深刻な事態を招くケースはたくさんあります。実際、しばらくガマンしていた腹痛が耐えられないほど酷くなって近所のクリニックを受診したところ、心筋梗塞がわかってすぐにカテーテル治療が行われ、どうにか一命をとりとめた患者さんもいます。
感染を恐れるあまり、ほかの病気で命を失ってしまっては本末転倒です。「おかしいな」と感じたら、まずは、かかりつけ医か近所のクリニックで診てもらうことをおすすめします。