新型コロナと闘ういまの日本には「柱」が見当たらない
■1次予防の重要さをより浸透させる
もっとも、「柱」が見当たらない現時点でも、未来を見据えた対策が必要です。新型コロナ禍を糧にして、災いを乗り越えた“光明”に変えていかなければなりません。政府や新型コロナ対策分科会は、「どのようなことをすればウイルス感染を防げるのか」について、世界各国のデータや報告を分析し、あらためて標準的なウイルス感染予防対策を明確に示す必要があります。
その感染予防対策が一般の人に受け入れられるレベルであれば、それが今後の公衆衛生におけるスタンダードになっていきます。そうなると、医療の中における「予防」のプレゼンスが高まり、近年問題になっている莫大な医療費の削減にもつながります。
新型コロナウイルスの感染予防対策として、手洗い、マスク着用、3密回避などがある程度浸透したことでインフルエンザのような飛沫感染による呼吸器系の感染症、ノロウイルスのような接触による消化器系のウイルス感染症がすでに大幅に減っています。結果的に、これらのウイルス感染症で亡くなる人や病院で治療を受ける人が激減しているのです。