新型コロナと闘ういまの日本には「柱」が見当たらない
これまで、政府は1次予防の重要さを国民に周知させようとしてきました。たとえば、メタボ健診で高血圧や糖尿病といった生活習慣病の患者を減らし、医療費を抑えようとしていました。しかし、多くの人はそれほど1次予防の大切さを実感することはなく、「病気を見つけてから治療を受ける」という医療の流れが大きく変わることはありませんでした。
それが今回の新型コロナ禍では、ほとんどの人が「1次予防がいかに重要か」という実感を抱いていると感じます。そうした意識が浸透すれば、予防という医療に対して国がさらに経済的な補填をするという流れになり、日本の医療制度が大きく変わるかもしれません。
今回の緊急事態宣言をただ「自宅でおとなしくしているように」というメッセージにするのではなく、あらためて標準的な感染予防対策を周知徹底して、医療の将来に対する光明を見いだす契機にするべきです。