認知症で療養型施設に入居している患者の搬送が増えている
このところ、認知症で介護療養型医療施設に入居されている高齢の患者さんが救急搬送されるケースが増えています。施設で心臓の発作を起こすなどして、順天堂医院のような急性期病院に運ばれてくるのです。
療養型施設の診療体制が変わってきていることが大きな理由です。かつて療養型施設の多くは、入居者の管理のための診察というと、呼吸、脈拍、血圧、体温、意識レベルなどを把握する簡単なバイタルチェックを行う程度でした。しかし、最近は入居者の健康状態で気になるところがあると、CTやMRI、場合によっては内視鏡といった検査を実施する急性期病院と提携関係にある療養型施設が増えてきています。病院が福祉に乗り出すことで、経営の安定化とともに入居者への安心感を提供しているのです。
高齢者は何らかの慢性疾患を抱えている人がほとんどですから、細かな検査を行えば多くは病気が見つかります。見つかった病気に対しては、家族と連絡を取りながら療養型施設が前述のような提携医療機関に送って治療をしたり、経過観察が行われます。そうした状況で、入居者に心筋梗塞の発作が起こったり、大動脈瘤でお腹が張って破裂したりといった緊急事態を招くと、救急要請があって急性期病院に搬送されてくるのです。