ハイブリッド手術は高齢患者の夢をかなえることができる
心臓手術の進化が患者さんの夢をかなえる――。先日、あらためてそう感じた手術を実施しました。
患者さんは88歳という超高齢の男性で、狭心症と大動脈弁狭窄症があり、全身も衰弱して生活に大幅な制限を受けている状態でした。手術の前に話を聞いてみると、足の血管も詰まっていて好きなゴルフもできなくなってしまったといいます。
「心臓を治してもう一度ゴルフをやりたい」
そんな希望を口にされました。私も大のゴルフ好きですから、その気持ちは十分すぎるほどわかります。
「できますよ。元気になって一緒にコースを回りましょう」
そうお話しして手術に臨みました。心臓の動きを止めないまま狭心症に対する冠動脈バイパス手術と、傷んでいる大動脈弁をカテーテルを使って交換するTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)をいっぺんに行うハイブリッド手術です。
まず狭心症を起こす原因になっている冠動脈の狭窄に対し、他の血管を使って3カ所にバイパス=迂回路を作って十分な血流を取り戻します。