ハイブリッド手術は高齢患者の夢をかなえることができる
それにより心臓の虚血を改善してから、太ももからカテーテルを挿入して人工弁を留置するというものでした。
このように、外科医による手術と内科医による血管内治療を、人工心肺装置を使わずに心臓を動かしたまま同時に行えるハイブリッド手術が可能になったことで、患者さんの負担が大幅に軽減できるようになりました。80代後半の超高齢患者さんの治療も問題なく実施できるのです。
■負担が少なく術後の回復が早い
手術のために心臓の動きを止めると、それだけで患者さんの臓器はダメージを受け、術後の回復も遅れてしまいます。心臓を止めている時間が長ければ長いほどダメージも大きくなるので、ただでさえ全身状態が悪い高齢者にとっては、心臓を止めたままバイパス手術と弁置換術を行うのは極めてハイリスクといえます。大動脈弁の手術にプラスして他の手術、たとえばバイパス手術や動脈瘤の手術が加わると、心臓を止めるオンポンプ手術を行った場合と、心臓を動かしたまま実施するオフポンプ手術を行った場合に表れる負担の「差」が、さらに増幅されてしまうのです。