著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

患者の旅立ち後、残された家族にとってもペットが心の支えに

公開日: 更新日:

 また82歳の女性の患者さんは、小型犬をペットとして飼っていました。歩行器を使いながら散歩に犬を連れていっていたのですが、時に駆け回る犬を捕まえようとして、ゼーゼーハーハーと息が上がることも。そんな犬との日常を送る患者さんが笑いながら話していたことが印象に残っています。

「もう寿命なのかなって思っているけど、ルイ(ペットの犬)がいるから頑張らないとって」

 55歳のアルコール性肝硬変の男性の患者さんもいました。看護師だった奥さまとお子さん、要介護2の患者さんのお母さまといった3世代と大型犬1匹のお宅でした。患者さんを中心にした仲の良いご家族でしたが、ご本人は病気であるにもかかわらず、お酒を飲み、たばこも吸うといった生活を送っていました。奥さまはそんなご主人を見かねて入院させるものの、ご本人が「病院は嫌だ」と言って強引に退院。これまで何度か入退院を繰り返してきたということでした。

 ところが本格的に在宅医療が始まると、リビングに3世代と犬が仲良く集まり、おしゃべりをしたり、テレビを見たり、食事をしたり。そんなだんらんを2カ月ほど過ごし、最後は笑顔で旅立っていきました。そして、そんな患者さんとご家族の傍らにはやはり、愛犬が最後まで別れを惜しむかのようにたたずんでいたのが印象的でした。

 患者さんとペット、そしてご家族とペットとの関係を見ていると、在宅医療を進める中でペットが果たす役割が決して小さくないことを痛感させられます。ペットは患者さんにとってだけでなく、ご家族にとっても、心の支えとなる大事なパートナーなのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カブス鈴木誠也が電撃移籍秒読みか…《条件付きで了承するのでは》と関係者

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  4. 4

    薬物疑惑浮上の広末涼子は“過剰摂取”だったのか…危なっかしい言動と錯乱状態のトリガー

  5. 5

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  1. 6

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  3. 8

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  4. 9

    松田聖子は雑誌記事数32年間1位…誰にも負けない話題性と、揺るがぬトップの理由

  5. 10

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ