第3波より第5波の新型コロナウイルスの方が怖いのは本当か?
例えば第3波の期間を2020年11月5日~2月28日(90日)、第5波を6月22日~9月19日(90日)として累計感染者数、死亡者数、死亡率で比べるとどうなるのか? 第3波は(同32万7914人、同6092人、同1.85%)、第5波(同88万9374人、同2748人、同0.3%)で感染者数は2.7倍に増えたが、死者数は半分以下、死亡率は6分の1以下に減少したことがわかる。
しかも、第5波の死亡率と季節性インフルエンザのそれと比べると3倍差までに縮小している。弘邦医院の林雅之院長がいう。
「第5波が第3波よりも死者数や死亡率が減少している原因は新型コロナウイルスそのものが人と共存するために病原性を弱めたのか、ワクチンや治療薬や治療方法が進歩したからなのか、あるいはその両方なのか、はわかりません。しかし、新型コロナが未知なるものだった時期は過ぎて、ヒトがコントロールできる方向に向かいつつあるのではないでしょうか。新型コロナの感染経路のひとつはエアロゾルを介した空気感染であるといわれています。だとすれば、空気が乾燥し、密閉した部屋に人が集まりやすい秋から冬に患者数が増えることは当然です。その意味では1日の新規感染者数が今年の秋以降に1万人になるかもしれません。しかし、その多くは軽症者です。患者数が増えれば重症化する人や亡くなる人も増えるかもしれませんが、必ずしも感染者増の割合と同じように急激に増えるとは思いません。すでにワクチンの効果もハッキリして治療薬も整いつつあります。軽症者の病状が急変したときにしっかり対応できるよう、病床を確保し、軽症者の管理をインフルエンザ同様かかりつけ医が行うようにしてかかりつけ医の判断で重症者を専門病棟のある病院に送るようにすれば、新型コロナは出口に向かうのではないでしょうか」
新型コロナは1年半前の未知なるウイルスではない。対抗手段も揃いつつある。そろそろ医療体制も通常に戻すための議論を始めてもよいのではないか。