膀胱(下)中高年男性の“おもらし”のメカニズム 医師が解説
「前立腺肥大症による尿トラブルは、女性と少し違う点があります。同じ過活動膀胱で尿意切迫感があっても、男性は尿道が長いので、尿失禁になりにくい。また、お腹に力を入れないと尿が出にくくなったり、勢いが弱くなったり、尿が途切れたりします。肥大した前立腺が尿の通りを邪魔するので、それが残尿感になったり、排尿直後にパンツの中に漏れたりするのです」
ただし、過活動膀胱が起こるのは、前立腺肥大症の初期の段階。前立腺肥大症が進行するにしたがって、「低活動膀胱」になる場合が多い。こうなると、膀胱の収縮力がなくなり、膀胱が小さくならないので尿が押し出せなくなってくるという。
女性の場合、過活動膀胱の大きな要因になっているのは「骨盤底筋群の筋力低下」。骨盤の底で内臓を支えている骨盤底筋が加齢とともにゆるみ、子宮や膀胱が落ちて下に引っ張られることで神経も引っ張られ、異常な信号を出してしまうのだ。
これは男性でも骨盤底筋のゆるみで膀胱が下がり、同じことが起こるという。また、膀胱が下がると前立腺肥大症が悪化することも指摘されている。男女ともに骨盤底筋のゆるみを改善することは、過活動膀胱の改善や予防につながるのだ。